ケムニマーク

煙に巻いてく日記

Undertaleに登場するジョークの英日比較とその解説(Nルート編①)

◆はじめに

◇本記事の概要

・Undertale(英語版)の、ダジャレやジョークに関連するセリフを収集し、素人のちょっとした解説を交えつつ日本語版と比較します。

・英語→日本語への逐語訳は基本しておりません。ダジャレ部分やわかりづらい部分を日本語で補う形がほとんどです。日本語部分の解説は少なめ。

・本記事ではNルートに登場するセリフを解説します。Pルート(Nルートから分岐したネタバレ部分)・Gルート・パピルス&アンダインの電話に登場するセリフは別記事の作成を予定しております(未定)。

 

◇注意書き

・筆者は非公式日本語翻訳パッチを使用してのプレイはしておりません。本記事において公式日本語訳と非公式日本語訳の比較の意図はありません。

・戦闘中のセリフやパピルスのセリフ(日本語)については一部改行を省略しています(見づらいため)。

・誤字、誤訳、セリフの抜け漏れ等がありましたら、お手数ですがコメント欄にてご連絡ください。

・本記事はUndertale一ファンの手による、非公式の記事です。予告なく消滅する場合があります。

・見やすくするためスクリーンショットを挟もうかと思いましたが、データを保存していたUSBメモリを紛失しました。見つかったら追加します。

・多くの人に英語ジョークの面白さや日本語翻訳の妙を感じてもらいたく書いた記事です。気楽に読んでいただければと思います。 

 

 ◆~Snowdin/スノーフル到達まで

◇Napstablook/ナプスタブルーク戦の彼のセリフ

i call it "dapper blook" ヒヤリハット
っていうんダ
do you like it... どウ…?
おもしろイ…?

涙で帽子をつくり、それをかぶった自分のことを”dapper blook”と呼ぶジョークを披露してくれます。”Dapper blook”は”dapper bloke”とかかっていて、”bloke”(「男」「やつ」等)の部分に、代わりに”blook”、つまり自分の名前の一部を入れています。

“dapper bloke”とは「身なりのきちんとした/おしゃれに着飾った男性」のことを指す言葉とのことで、日本語で言えば「洒落者」とか「伊達男」というところでしょうか。

(参考:http://undertale.wikia.com/wiki/Napstablook)

日本語版の「ヒヤリハット」は「重大な災害や事故には至らないものの、直結してもおかしくない一歩手前の事例の発見」(Wikipediaより)。「ヒヤリ」はゴーストっぽい部分に、「ハット」の部分は帽子にかかっているジョークです。

元の”dapper bloke”という言葉に、日本語を母国語とするプレイヤーはおそらくほとんど馴染みがないことから、まったく違う意味のジョークに差し替えられています。

 

◇Stick(ぼうきれ)の説明

*Its bark is worse than
 its bite.
*さんぽちゅうの いぬが よく
 ぶつかる。

“One’s bark is worse than his bite”というイディオムは、「その人物は見かけほど気性が荒くない」という意味です。元々犬に対して使われていたのがイディオムとして定着したフレーズです。”Stick”の説明文に使われている理由としては、”bark”には「吠える」と「樹皮」の両方の意味があるのでそこをかけたのだったり、ゲーム中で犬に投げて遊ぶことができたり、おそらく初期装備で大した攻撃力がなかったり、というところかと。

日本語版はご存知「犬も歩けば棒に当たる」から。英語・日本語版ともに「犬」ニュアンスを含んだイディオム・諺とかけられています。

 

◇Home/ホームでのToriel/トリエルの日記

*It's TORIEL's diary. *トリエルの にっきだ。
*Read the circled passage?
>Yes No
*まるが ついているところを
 よみますか?
>はい いいえ
*You read the passage… *にっきを よんだ…
*"Why did the skeleton want
  a friend?
*「スケルトンは どうして
 ともだちが ほしかった?」
*"Because she was feeling
  BONELY..."
*「さみしさが ホネみに
 しみたから…」
*The rest of the page is
 filled with jokes of
 a similar caliber.
*ほかにも にたような ダジャレが
 たくさん かきつらねてある。

 発音の似た部分のある“Lonely”(「独りぼっち」)と”bone”(「骨」)がかかっています。「似たようなテイストのジョークでページが埋められている」という最後の一文からも、かなり安直なジョークとして扱われていることがわかります。

日本語になっても設問の内容は変わらず、答えも(やはり少し安直ですが)「ホネ」にかかっているという部分も変わっていません。なお、「ロンリー」という言葉は日本語でもある程度認知されていると思いますが、日本語の発音の関係上「ボーン」とのダジャレは成り立たないため、日本語で通じるダジャレに変わっています。ほとんど英語版での意味を保ったままのジョークというのは結構珍しい気がします。

 

◇最初に見かけるSans/サンズPapyrus/パピルスの会話

SANS!! YOU ARE
NOT HELPING!!
YOU LAZYBONES!!
ちょっと!
てきとうなこと いわないでよ!
この、くされスケルトンめッ!
ALL YOU DO IS SIT
AND BOONDOGGLE!
まいにちなーんもせずに、
ホネくそほじってばっかのくせに!
YOU GET LAZIER
AND LAZIER
EVERY DAY!!!
そんなだとえらいひとに、
なれないんだぞ!
*hey, take it easy.
*i've gotten a ton
 of work done today.
*いやいや。こうみえても
 トントンびょうしに
 しゅっせ してるんだぜ。
*a skele-ton. *スケルトンなだけに!?
SANS!!! さむっ!

“A ton of”もしくは“tons of”で「たくさん/山ほどの/大量の」という意味になります。サンズのダジャレ部分を直訳すると「今日はもうすでに山ほど仕事をこなしている」といったところ。個人的には”tons of”の方が一般的に感じますが、おそらく”skele-ton”と足並みをそろえるために”a ton of”を使っているのだと思います。日本語版は英語版と同じく「トン」部分にかけたダジャレです。パピルスと同感。

ちなみに、”boondoggle”は「無駄な仕事・労力」を指し、パピルスの”ALL YOU DO IS SIT AND BOONDOGGLE!”は、サンズが「ゴロゴロして時間を無駄にしている」と怒っているのですが、日本語版ではこれを「まいにちなーんもせずに、ホネくそほじってばっかのくせに!」と、ホネに関する造語に置き換えているのです。細かい。

 

*wow, sounds like
 you're really working
 yourself…
パピルス たまには
 かたのちから ぬけよ。
 それが ほんとの…
*down to the bone. *ホネやすめ…!
 なんつって。
UGH!!! ぬぁぁぁぁぁぁ!

“Down to the bone”単体であれば「骨の髄まで」、”work down to the bone”であれば、直訳すると「一生懸命働く」という意味が近いです。日本語版では一生懸命働くことそのものよりもその後の部分に「ホネやすめ」というダジャレを当てています。

「骨の髄まで働く」は日本語としておかしいので、同様の意味であれば「粉『骨』砕身」あたりもうまく収まるかなと思った、のですがひらがなで「ふんこつさいしん」と書かれてもパッと見ピンとこないですね。漢字を極力抑えたテキストなので、漢字を用いなくてもパッと意味が伝わる言葉の方が良い。

 

I WILL ATTEND TO
MY PUZZLES…
もういい!
オレさまはじぶんの
パズルのかんりで
いそがしいんだ…
AS FOR YOUR WORK? まったく…
PUT A LITTLE MORE. ちゃんは、ホントに…
"BACKBONE" INTO
IT!!!!
「ホネ」の ずいまで
なまけものだな!
NYEHEHEHEHEHE
HEHEHEHEHEHE!!!
ニャハハハハハハ
ハハハ!
HEH! ハ!!

”Backbone”は「気骨」「活力」。“Put a little more backbone into it(=your work)”部分では、パピルスがサンズに「もっとしっかり/気合を入れて仕事をしろ!」と(楽しそうに)叱っています。「気骨を持って仕事をする」…というのは日本語としてやはり不自然なので、自然に意味が通じる形になるよう、パピルスの発言の内容が変わっています。

パピルスとサンズの一連のやり取り、日本語においてもやり取りの流れや二人の関係性が変わることなく自然にダジャレが織り込まれているのが良いですね。

 

◇Snowdrake/オワライチョウのダジャレ

寒さ、冷たさ、雪、氷に関連するダジャレを連発するオワライチョウ。英日でどのジョークが対応しているかが特定しづらいので、言語に分けていっぺんに解説します(日本語版に関しては解説なしです)。

・Better not snow "flake" out!

“Flake out”(「気絶する」)と”snow flake”(「雪の結晶」)をかけたジョーク。ダジャレを無視して直訳すると「気絶しない方がいいぜ!」。

 

・Ice puns are "snow" problem

“No problem”の”no”と”snow”がかかっています。韻を踏んでいるだけで他には何もかかっていないので、このジョーク群の中でもかなりお粗末な出来かと…。ちなみに”pun”はいわゆる「ダジャレ」のこと。

 

・Fights you in "cold" blood.

“Cold blood”:「冷血/冷酷」。「冷酷に戦うぜ」といったところ。

 

・My fave Ice cereals: "frosted"

“Ice cereals: Frosted”は(おそらく皆さんご存知の)コーンフロスティ(http://www.frostiesandcoco.jp/ja_JP/products/corn-frosties.html)のようなシリアルのことを指している(少なくともこれを連想するプレイヤーは多い)かと思われます。ちなみに”frost”そのものは「霜」、”frosted”で「霜がかかった/霜が降りた」という意味です(一応)。

 

・"Chill" out...

「落ち着け」俗語とか若者言葉っぽい感じです。「頭を冷やせ」…だと少し大仰か。

 

・"Ice" to meet you.

“Nice”と”ice”。特に何も言うことはありません。

 

・M.. m.. macaroni and "freeze"

”Macaroni and cheeze”(「マカロニ・アンド・チーズ」)は単なる食品の組み合わせというよりも手軽なグラタンのような料理名を指します。

 

(日本語)

・こおりネタってのは ようスベりまんねん!

 ・あさめし? シリアル“フロスト” でんがな!

 ・“こおり”ゃ どうもまいど!

 ・にっちもさっちも “ゆき”まへんねん!

 ・すべらんなぁ~

・じぶん “こおらし”めたるで!

 ・マ…マカ…マカロニ “フリーズ” チーズ…

 

◇Snowdrake/オワライチョウの戦闘中のセリフ

* Snowdrake is pleased with
 its "cool" joke.
*オワライチョウは じぶんの
 サムいネタに ニヤニヤしている。
 

*オワライチョウは じぶんの
 “クール”なジョークに
 まんぞくげだ。

 

自分のジョークに満足している様子。これも特に言うことはないのですが、英語1文に対して日本語が2文あるので回収を漏らしている気がします。気が向いたら探してきます。

 

*Snowdrake realized its own
 name is a pun and is
 freaking out.
*オワライチョウは じぶんの
 なまえが ダジャレなことに
 きづいて パニクっている。

“Snowdrake”は”snowflake”(「雪の結晶」)と”drake”(「カモ/アヒルの雄」)をかけたダジャレ。「オワライチョウ」は「お笑い」と「雷鳥」をかけたダジャレ。父親のセンスでしょうか。ついでに”Freak out”は「ビビる」「パニックになる」などと訳せます。

 

◇Dogamy/イヌッスDogaressa/イヌッサとの邂逅時

*What's that smell?
*(Where's that smell?)
*なんか におうッス。
*(ニオイのもとは どこサ?)
*If you're a smell...
*(... identify yoursmellf!)
*ニオイのもとに つぐッス…
*(…しょうたいを あらわしな!)

英語の方は本来であれば”yourself”「自分自身」と言うであろうところで、”smell”「におい」とかけた”yoursmellf”という造語を使っています。

 

◇Snow dog/ゆきイヌゾーン

*On the floor inside is
 a box of pomeraisins.

*なかを のぞくと ゆかに
 「イヌじるしレーズン」の
 はこが みえた。

犬の雪像(の一部)が散乱するゾーンの見張り小屋を覗くと見える文面。”Pomeraisins”は”Pomeranian”(「ポメラニアン」)と”raisin”(「レーズン」)がかかったダジャレ、というかつづりが似ていることを利用したジョークで、直訳すると「ポメレーズン」というところでしょう。日本語だと正直なんのことやらわからないので、「イヌじるしレーズン」と訳されています。

 

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