ケムニマーク

煙に巻いてく日記

Undertaleに登場するジョークの英日比較とその解説(Nルート編③)

Undertaleに登場するジョークの英日比較とその解説(Nルート編①) - ケムニマーク

Undertaleに登場するジョークの英日比較とその解説(Nルート編②) - ケムニマーク

上記2記事の続きです。③が一番長いです。すみません。

 

◆Hotland/ホットランド~Core/コアまで

◇Sans/サンズのホットドッグスタンドにて

ホットドッグスタンドにいる彼は話しかけた回数に応じてセリフが変わっていきます。

手持ちのアイテムがいっぱいのときとそうでないときによっても変わります。

・1回目

*hey buddy, what's up?
*wanna buy a hot dog?
*よう。
 チョーシは どうだ?
 ホットドッグ かうかい
*it's only 30G. *30G ポッキリだぜ?
>Yes >はい
*thanks, kid.
*here's your 'dog.
*まいどあり。
*ほら ドッグだよ。
*yeah. 'dog.
*apostrophe-dog.
*it's short for hot-dog.
*そ。「ドッグ」。
*ホットドッグを
 りゃくしたんだ。

“Hot dog”はたったの2音節しかないにも関わらず、サンズは1音節を口に出す手間すら惜しんで、アポストロフィを使って“’dog”へ省略している…というジョークと思われます。ジョークの内容が英語の発音方法に由来するもののため、日本語にそのニュアンスを訳出するのは難しかったのではないでしょうか。

 

・2回目のYes/はいを選択したとき

*another h'dog?
*here you go…
*ホッドグ おかわりか?
*りょーかい…
*whoops, i'm actually
  out of hot dogs.
*おっと ホットドッグは
 しなぎれだ。
*here, you can have
 a hot cat instead.
*かわりに
 ホットキャットをやるぜ。

品切れの“Dog”「犬」に対して”cat”「猫」を持ち出しています。日本語に訳したときに、そのままカタカナで通じる言葉というのはある程度限られているものですが、「ドッグ」も「キャット」も日本語話者になじみのある言葉のためそのまま使われています。

 

・3回目のYes/はいを選択したとき

*another dog, coming
 right up…
*ドッグ もういっちょ
 ついか だな…
 ちょっと まってな。
*... you really like
 hot animals, don't
 you?
*…アンタ どんだけ
 ホットドッグすきなんだ?
*hey, i'm not judging. *さては ホットな
 ケモノずき だな?
*i'd be out of a job
 without folks like you.
*ま ひとのシュミに
 ケチつけるつもりは
 ないぜ。

前半部分はほとんど同じ意味ですが、”(you really like) hot animals”が「ホットなケモノ(ずき)」と意味深長な訳され方をしているのが引っ掛かります。

それはさておき、後半部分について。”Judge someone XXXX”というフレーズは、「その人をXXXXだと判断する」といった意味になりますが、”judge someone”だけでそのあとに判断した内容が続かないときは、「その人に対して、偏った見方をする」といったニュアンスが若干出てきます。英語の”hey”以下を直訳すると、「アンタに対して偏見を持つわけじゃないぜ、アンタみたいな輩がいないと仕事がなくなるしな」という具合でしょうか。

英語でやっていたときはあまりピンと来ていなかったのですが、日本語前半の「ホットなケモノずき」という文面と、後半部分からから暗に「ケモナー」を示しているジョークなのでは?とふと思いました。あくまで推測でしかありませんが。ちなみに、いわゆる「ケモノ」を示すスラングは英語で”furry”、もともとは「(毛が)ふわふわした」というような意味の形容詞です。

 

・4回目のYes/はいを選択したとき

*cool.
*here's that ''dog.
D.O.G. おかわりか?
*りょーかい。
*apostrophe-apostrophe
 dog.
*そ。D.O.G. だ。
*it's short for
 apostrophe-dog.
*ドッグの
 かしらもじ さ。
*which is, in turn,
 short for…
*その さらに
 かしらもじ は…
 えーっと…

“’dog”を更に略そうとした”’’dog”ですが、発音的にはなんら”’dog”と変わらず、省略の意味がないというジョークです。日本語の方も似たようなテイストで、「ドッグ」と「ディーオージー」では、発音する音節数はむしろ増えています。

 

・5回目のYes/はいを選択したとき

*another one?
*okay.
*また おかわりか?
 りょーかい。
*careful.
*if you eat
 too many hot dogs…
*でもな…
*ホットドッグ
 くいすぎると…
*you'll probably get
 huge like me.
*オイラみたいに
 デカく なっちまうかも
 しれないぜ?
*huge as in super-
 popular, i mean.
*“おおもの” って
 イミだけどな。
*i'm practically
 a hot-dog tycoon now.
*オイラは このせかいの
 ホットドッグ・キング
 だからな。

英語・日本語で意味はほぼ同じです。”Huge”は”big”よりさらに大きいイメージで、かつ、日本語の方で訳出されているように「デカい」といった砕けたニュアンスのある形容詞です。

“Hotdog tycoon”の“tycoon”は「大御所」「実力者」といった意味ですが、「タイクーン」というカタカナ言葉があまり日本語に馴染んでいないと判断されたためか、「キング」に変更されています。もしくは一行に使える文字数の制限に引っ掛かったか。

 

・6回目以降はずっと以下のセリフです。

*thanks, kid.
*here's your hot dog.
*まいどあり。
*ほら ホットドッグだよ。

 

 ・持ち物がいっぱいの時にYes/はいを選択(1~29回目)

(1st)
*you're holding too much.
*... guess i'll just put
 it on your head.
(1個目)
*もちものが いっぱいだ。
*アタマのうえに
 おいとくな。
(2nd)
*here's another hot
 dog.
(2個目)
*ヘイ おまちぃ。
 ホットドッグもういっちょ
 ついか でぃ!
*it's on the house.
*well, no.
*it's on you.
*…ノリがわるいな。でも
 ホットドッグは ちゃん
 あたまに ノったぜ。
(3rd~29th)
*here.
*have fun.
(3個目~29個目)
*はい。
*おまちどうさん。

 主人公の頭にホットドッグを乗せるやり取り。2個目を受け渡す際にジョークがあります。“On the house”は字面だけ見ると「家に乗っている」ですが、「店のおごり」という意味のイディオムです。直後に続く”it’s on you”(「アンタのあたまにのってるぜ」)とかけています。

日本語のジョークも、ホットドッグが頭に「乗った」ことにかけています。

 

 ・30回目

*i'll be 'frank' with
 you.
*なあ… かんがえても
 みろよ…
*as much as i like
 putting hot dogs
 on your head…
*オイラも ホットドッグを
 あたまに のっけるの
 すきだけどさ…
*thirty is just
 an excessive number.
*30コは さすがに
 やりすぎだぜ。
*twenty-nine, now
 that's fine, but
 thirty…
*29コまでは いい。
 でも 30となると
 はなしは べつだ…
*does it look like
 my arms can reach
 that high?
*オイラの うでじゃ
 そんな たかいとこに
 とどくわけないだろ?
   
*sorry, thirty is
 the limit on
 head-dogs.
*わるいな。
*ヘッドドッグは
 30コまでだ。

 30個目を乗せようとするときの、サンズにたしなめられるやり取り。英語版の”I’ll be frank with you”は「正直に言わせてもらうと」といった意味ですが、クォーテーションマークで協調されている通り、”frank”は「『フランク』フルト」とかかっています。日本語でも「フランク」という言葉は浸透していると言えますが、「フランクに言わせてもらう」というのがあまりしっくりくる日本語ではないので、外されたのではないかと推測します。

余談ですが、”hot dog”の”t”部分は、直後の”d”と重なるせいでほとんど発音されず、日本語で言う促音のようになります。それは”head”の最後の”d”も同じとなり、あえてカタカナで発音を記すと「ホッドッグ」「ヘッドッグ」のような感じになります。正確に押韻しているわけではありませんが、音のリズムが似ているのは口語において結構大事(?)だったり。

 

◇Pyrope/パイロープ戦

>←このマークはコマンドを選択したことを意味しています。

>Invite

>ブラブラする
*You invite Pyrope to hang
 out.
パイロープに「ブラブラしよう」と
 こえを かけた。
Sorry!!
I’m all tied up!!
わるいけど
よていにしばられててさ!

“Hang out”は「遊びに行く」「たむろする」という意味で、”hang”=「ぶら下がる」「つるす」)とかかっています。”Tied up”は「しばりつけられている」もしくはそこから転じた「手が離せない」という意味で、問いかけも答えも「縄」に関係するものです。日本語の方は英語のほぼ忠実な訳となっていますが、「縄」に関連するニュアンスはしっかり保たれています。

 

◇Pyrope/パイロープ2体に同時に遭遇

*The rare and threatening
 Double Davis.
*ロープが2ほん… じごくの
 ダブルダッチの はじまりだ。

個人的に気になったので載せました。”Double Davy”というひもの結び方があるそうで、その複数形が”Double Davis”なのではないかと推察します。同じ縄に結び目が2個なのか、縄自体が2本なのかは不明ですが、敵が2体いるところからすると後者の方ではないかと思います。日本語の方も縄が2本ですし。

 

◇Mettatonニュースのエリアの手前(Coreクリア後にPyropeに話しかける)

*Haha, ha ha ha.
*Ya wanna “hang” out?
*へへ… へへへ…
*オレが たのみの “つな”
 なんだろ?
*Haha, ha ha ha.
*Sorry, I’m all TIED UP!!!
*へへ… へへへ…
*なにしろ オレは “ロープー”…
 つまり プロ だからな!!
*Psyche! Owned!
*No one wants to be MY
 friend!!!
*なーんてな! ウソウソ!
*オレは ただの “トーシロ”さ!

縄ギャグが続きます。ついでに関係ない部分を解説すると、”psyche”や“owned”は”gotcha”のような「してやったり」といったニュアンスを持つ言葉です。あと英語版の方はなぜこんな悲しいことを言っているんでしょうか…。

 

◇Mettaton/メタトン第二戦のコマンド

>Yell >きいろい
 こえを あげる
*You yell...
*Nothing happened.
*きいろいこえを あげた…
*しかし なにも おこらなかった。
(一定時間経過後)
*Your phone's ACT menu is
  glowing.
*ケータイのこうどうメニューが
 ひかっている。
>Yellow >きいろい
 ボタン
*You press the yellow button.
*The phone is resonating with
 Mettaton's presence...!
*きいろいボタンを おした。
*ケータイが メタトンのボディに
 きょうめい している……!

“Yellow”をもじった”yell”、「きいろ」をもじった「きいろいこえ」というコマンドを用意し、一定時間経過後に本命のボタンが押せるようになるシーンです。”Yell”=「叫ぶ」と「黄色い声」もかかっています。

 

◇Core/コアでのSans/サンズとの食事イベント

長くてすみません。

*so i'm a sentry in
 snowdin forest, right?
*オイラ スノーフルの
 もりで けいびいん
 してるだろ?
*i sit out there
 and watch for humans.
*it's kind of boring.
*ニンゲンが こないか
 みはってるだけだから
 まいにち ヒマでさ。
*fortunately, deep in
 the forest…
*でも もりの
 ずーっと おくに…
*there's this HUGE
 locked door.
*カギのかかった
 デカいドアがあって…
*and it's perfect
 for practicing
 knock knock jokes.
*これが ギャグの
 れんしゅうに
 ぴったりなんだ。
*so one day, i'm
 knocking 'em out,
 like usual.
*あるひ その
 ドアを おきゃくさんの
 かわりにして…
*i knock on the
 door and say
"knock knock."
*しんさくギャグを
 れんしゅう してたらさ…
*and suddenly, from
 the other side…
*とつぜん
 ドアのむこうから…
*i hear a woman's
 voice.
*おばさんの こえで
 ツッコミいれられたんだ。
*"who is there?" *「なにゆーとりまんねん」
 ってさ。
*so, naturally, I
 respond:
*だから
 すかさず
 かえしたね。
*"dishes." *「ピンげいにんに
 つっこむやつが
 あるかいな!」ってさ。
*"dishes who?" *そしたら「ツッコミに
 つっこむやつが ある
 かいな」ってかえされて。
*"dishes a very
 bad joke."
*「そもそも ボケて
 へんわー!」って
 いってやったら…
*then she just
 howls with laughter.
*そのおばさん
 おおわらい
 しはじめてさ。
*like it's the best
 joke she's heard
 in a hundred years.
*こんせいき さいこうの
 ギャグでもきいた
 みたいな いきおいで。
*so I keep 'em
 coming, and she keeps
 laughing.
*だから オイラ
 どんどん ギャグを
 れんぱつ した。
*she's the best
 audience i've ever
 had.
*オイラのネタで
 あんなに わらってくれた
 ひと はじめてだったよ。
*then, after a
 dozen of 'em,
 SHE knocks and says…
*そしたら その
 おばさんが…
*"Knock knock!" *「わたしも ひとつ
 ギャグを いっていい?」
 っていうから…
*i say "who's
 there?"
*どーぞ! って
 こたえたらさ…
*"old lady!" *「…ねえ ふしぎだと
 おもわない?」って
 いうんだ。
*"old lady who?" *「なにが?」って
 きいたら…
*"oh! I did not
 know you could
 yodel!"
*「こんなに ちかくで
 はなしているのに
 “トーク”なんて」って。
*wow. *ビビッたね。
*needless to say,
 this woman was
extremely good.
*この おばさん
 タダものじゃない… って
 おもったよ。

Undertaleの象徴ともいえる(?)ノックノックジョーク。初見で日本語訳大変そうだなと思いました。ノックノックジョークは「掛け合い」と「ダジャレ」を組み合わせたギャグで、詳細はWikipediaをチェックしていただくようお願いします(すみません)。英語のダジャレというのは(ノックノックジョークに限った話ではありませんが)厳密に発音が全く同じの言葉同士がかかっていなくても、発語した際に何とかかっているかわかる程度に発音が似ていればダジャレとして成立するという特徴があります。例えば綴りが同じ必要もありませんし、発音記号が違っていても口に出して似ていたらOKです。要は口に出して面白いかということが重視されます。

さて、2つだけですが各ジョークを解説します。

 

・1個目

A: Knock knock.

B: Who’s there?

A: Dishes.

B: Dishes who?

A: Dishes a bad joke.

 

“Dishes”は”This is”とかかっており、”This is a bad joke”=「なんてつまらない冗談だ」でオチがつく、というギャグです。

ノックノックジョークのオチ部分は結構何でもありです。ノックノックの掛け合いの中で「なりきり」をしていたかと思いきやこのジョークみたいに急に元の世界に戻ってきたり、それまでの掛け合いを無視して”〇〇 who?”と質問してきた相手をおちょくったり。掛け合いの文脈通りのオチを持ってくることもあります。

こちらのジョークは「お笑い芸人のボケ・ツッコミ」に日本語訳されています。

 

・2個目

B: Knock knock.

A: Who’s there?

B: Old lady.

A: Old lady who?

B: Oh! I did not know you could yodel!

 

英語ネイティブ同士の日常会話で一音一音をはっきり発音するケースはあまりないといってよいでしょう。4行目でSansが口に出した“Old lady who?”はあえて文字に起こすなら”Ol-lady-hoo?”くらいの砕けた発音になってもおかしくありません(なんとなくですが、Sansの場合はさらにだらっとした発音になってるんじゃないかと思います)。それがヨーデルのように聞こえることから、Torielが「あなたがヨーデルできるなんて知らなかったわ!」と言っているのです。

冒頭で述べたように、ノックノックジョークは発音が厳密に似ている必要はありません。このヨーデルのダジャレのように、一音一音はっきり発音するのではなく、日常会話の中の流れるような発音の中で似ていれば成立する類のものなのです。

こちらのジョークはトリエルのダジャレに訳されています。ついでですが、メッセージの切り替わりの回数は英語と日本語で同じなため、ノックノックジョークで伸びた尺の文、日本語ではトリエルが冒頭で自分もジョークを言ってよいかと確認しています。

 

以下は解説というよりも所感です。

Undertaleのノックノックジョークの翻訳の何を難しそうだと感じたかというと、実際のゲーム中に登場する”Ruins”の「ドア」を利用しているところだと思います(実際のノックノックジョークは単なる言葉遊びなので、本物のドアがある必要はありませんが)。「掛け合い」と「ダジャレ」の要素を兼ね備えただけの小粋なジョークなら幾分か書きやすいと思いますが、「いせき」に通じるドアが閉まっていてその向こうの人とやり取りをする、ということが大事なこのシーンにおいて、ドアの存在を無視するわけにもいきません。日本語版の「ドアを客に見立てる」というところに少し苦慮の跡が見受けられます。ただ、その後の掛け合い部分はうまく日本語に存在する「掛け合い」形式のギャグに落とし込んでいるし、サンズがMTTホテルでピン芸人としてディナーショー(?)に出演しているという設定をうまく拾っていると思いました。

自分は日本語と英語以外の言語はてんでだめなのですが、他の言語に公式で翻訳された場合、どのようにその国ナイズドされるのかが気になるところです。

 

◇Core/コアでのMettaton/メタトン戦

>Burn >ひっくりかえる
*This is probably what you'll
 do if things continue in
 this manner.
*このままだと まちがいなく
 ひっくりかえって しぬことに
 なるだろう。
(一定時間経過後)
*Seems like a good time to
 turn Mettaton around.
*どうにかして メタトンに うしろを
 むかせることが できれば…
>Turn >ひっくりかえす
*You tell Metaton that there's
 a mirror behind him.
*メタトンに 「うしろに かがみが
 あるよ」と つたえた。

前回のメタトン戦同様一定時間経過後に選択できるコマンドの名称が変わります。英語は”burn”=「燃やす」→”turn”=「回す(裏返す)」の言葉遊びです。

 

 

◆終わりに

以上がNルート内で筆者が発見したダジャレ・ジョークです。大半が稚拙で冗長な解説となってしまいましたが、お付き合いいただきありがとうございました。英日ともにセリフ回しが素敵なUndertaleをもっと楽しむための一助となれましたら幸いです。

①の冒頭で述べました通り、まだ他ルートや電話でもダジャレ・ジョークがたくさんありましたので、時間を見つけて同様の記事を書ければと思います。