ケムニマーク

煙に巻いてく日記

Undertaleに登場するジョークの英日比較とその解説(Nルート編②)

Undertaleに登場するジョークの英日比較とその解説(Nルート編①) - ケムニマーク

上記の続きです。未読の方はこちらからお読みください。

 

◆Snowdin/スノーフル~Hotland/ホットランド序盤

◇Snowdin/スノーフル入口の横断幕

*(Welcome to Snowdin Town!) *(ようこそ スノーフルのまちへ!)

出典不明で恐縮ですが、“Snowdin”の由来が”snowed in”(「雪にうずもれる」「大雪に閉じ込められる」)であるのに対し、「スノーフル」の由来は「スノー降る」であるというのを見かけて「なるほど!」と思いました。Toby Fox氏より「地名に関しても日本語ですわりの良い地名をつけてください」とローカライズ時に方針が提示された (参考:http://www.4gamer.net/games/384/G038441/20170814015/)とのことで、作品全体の雰囲気に合わせつつ日本語として面白い地名に変えられています。リスペクト元のMOTHER2っぽい。

 

◇Bisicle/バビコの説明

*It's a two-pronged popsicle,
  so you can eat it twice.

*2ほん つながったアイス。
 2ど おいしい。

 英語の説明文にある”popsicle”は「アイスキャンディー」を指す一般名詞で、接頭語の”bi-“(「2つの-」)をつけた”bisicle”で「2つつながったアイス(“two-pronged popsicle”)」を指す固有名詞(?)となります。発音的には”bicycle”(「自転車」)とおそらく同じ。「バビコ」は「倍」と「パピコ」がかかっているようです。

ちなみに1度使用すると”unisicle”及び「シングルバビコ」になります。”uni-“は「1つの-」を指す接頭語。

 

◇Cinnamon Bun/シナモンキーの説明

Cinnamon Bunの正式名称はCinnamon Bunnyです。アイテム欄で確認可能。

*A cinnamon roll in the shape
 of a bunny.
*「モンキー」といいつつ
 ウサギにしか みえないパン。

“Cinnamon Bun”の”Bun”は「(丸い)パン」、”Cinnamon Bun”であれば「シナモンロール」またはそれに近いパンのことを指していると思われます。Snowdinの店で購入する時、画面には”Cinnamon Bun”と書かれているのですが、ITEM画面を開くと”Cinnamon Bunny”という表記になっています。つまり”Bun”はパンのことを示しているのではなく”Bunny”(「うさぎ」)の略として用いられていて、ITEM画面を開いて初めて本当の名前がわかってびっくり、という仕掛けです。また、店の外でうさぎのお姉さんがおそらくこのアイテムを散歩させています。余談ですがお姉さんの”Bun-bun-bun…”というセリフには、「かわいいでちゅね~」みたいな、赤ちゃんをあやすときの言葉のようなニュアンスがあります。

さて、上記を踏まえて日本語訳を見ます。外のお姉さんがこのアイテムを持っているので「うさぎ」ニュアンスを消すわけにもいかないけど、そのまま「バン」にしても日本語では「バニー」のニュアンスはありません。よって動物つながりで「シナモン」とつながる「モンキー」が抜擢されたのだと推測します。

 

◇LIBRARBY/としょんか内の受付

*Welcome to the library.
*Yes, we know.
*The sign is misspelled.

*ここは としょかんだよ。
*ああ わかってる。おもての
 かんばんは じが まちがってるよ。

図書館の看板の間違いです。特にダジャレとかではないのですがかわいいので載せました。

 

Papyrus/パピルスに敗北したときのGarage/物置小屋の手紙

パピルスに敗北しつかまると、3度目までは物置小屋内の手紙の内容が変わります。

3度目に関してはダジャレが含まれていないため本記事では割愛しております。

・1度目

*It's a note from Papyrus パピルスの かきおきだ…
SORRY, I HAVE TO LOCK
YOU IN THE GUEST ROOM
UNTIL UNDYNE ARRIVES.
わるいが、アンダインがくるまで、
このへやでおとなしく
しといてもらう
FEEL FREE TO MAKE
YOURSELF AT HOME!!!
ごゆっくりおくつろぎ
ください!
REFRESHMENTS AND
ACCOMODATIONS HAVE
BEEN PROVIDED.
おしょくじと、
きゅうけいばしょも、
ごよういしました!
- NYHEFULLY YOURS,
 PAPYRUS
ニャハハのハ
パピルスより

本文自体にダジャレ要素はないのですが、署名部分の”NYEHFULLY”は通常の英文レターの署名で用いられる”Sincerely”や”Respectfully”、”Gratefully”あたりの締めの挨拶とパピルスの特徴的な笑い声の”NYEH”をもじった造語です。日本語の「ニャハハのハ」の捨て台詞っぽさが好きです。

 

・2度目

PLEASE ASK BEFORE
YOU ESCAPE!!!
にげるときは、
じぜんにごそうだんください!
WHEN YOU WENT
MISSING I GOT
WORRIED SICK!!!
きゅうにいなくなって、
しんぱいしたんだからねッ!
-SLIGHTLY
BONETROUSLED,
PAPYRUS

ちょっとホネにきてる
パピルスより

 こちらも署名部分について。英語の方の”BONETROUSLE”が造語ですが、”trousle”という単語は存在しないので、文脈からなんとなく意味を推測すると「不安に駆られる」「心労がたまる」といったニュアンスになるかと思います。日本語訳はそのニュアンスをうまくくみ取って「ホネにきてる」という表現を選んでいます。

ついでに、パピルス戦のBGM名”Bonetrousle”は、上記のニュアンスを踏まえて「手こずる/手こずらせる」辺りの意味を持たせようとしているのではないでしょうか。

 

Papyrus/パピルスとのDate/デート中に靴を調べる

HUMAN SOULS ARE
STRONGER THAN
MONSTER SOULS…
オレさまのクツに
ヒミツがあると…?
BUT THE SOLES OF
OUR SHOES ON THE
OTHER HAND...!
クッ…クッ…クッ…
... ARE ABOUT THE
SAME.

ざんねんながら、
それは「シークレット」
シューズではない!

 英語版を日本語に直訳するとおおむね以下の通りになります。

---

ニンゲンのソウルは

モンスターのそれよりつよい…

 

しかしクツのソールは…!

 

…だいたいおなじくらいの

つよさだ。

---

 “Soul”と”sole”が英語で全く同じ発音のため、それを踏まえたダジャレとなります。

日本語訳では”soul”を「タマシイ」と訳していることから、このダジャレは成立しなくなったため、別なジョークに差し替えられています。

 

◇Snowdin/スノーフルまでの道にいるSnowdrake/オワライチョウ(パピルスと和解した後)

*I ran away from home.
*Why?
*ワテ いえで しましてん。
*なんで って?
*'Cause my father was so
 "cold" to me…
*オトンが “つめた~く”
 するからですわ…
*WHAT!?
*It's a JOKE!!
*LAUGH at it!!
*え ちょっと!
*いまの わらうとこ ですやん!?

英語も日本語もほぼ同じ意味です。語ることは特にありません。

 

◇Sans/サンズとGrillby’s/グリルビーズでの食事中

*bone appetit. *“ボーン”ナペティ。

「たくさん召し上がれ!」という意味の“bon appetit”=「ボナペティ」 をもじっただじゃれです。元はイタリア語。

 

◇Temmie Village/テミー村のセーブポイント

*(You feel... something.)
*(You're filled with
 detemmienation.)
*(ふしぎな なにかを… かんじる)
*(ケッィ みなぎタ!)

英語版の方の、”determination”をもじった”de’temmie’nation”は、発音ではなく字面が似ているというジョークです。日本語版はダジャレではありませんが、比較のために載せています。

 

◇Mettaton/メタトンのクイズショー(第5問)

(Mettaton)
DON’T ‘COUNT’
ON YOUR VICTORY…
(メタトン)
でも“ハエある”
ゆうしょうは そう
かんたんに かちとれない
(Question)
How many flies are
in this jar?
(問題)
ビンのなかに
ハエは
なんびき いる?

 “Count”単体では「数える」ですが“Count on”というフレーズには「期待する」(ほかには「あてにする」「見込む」等)という意味があります。この問題はビンの中のハエの数を当てるというものですが、「数えているようでは、勝利は期待できない」というのを、”Count on”のワンフレーズで表現しているというジョークです。

日本語版は元の「勝利は期待できない」というニュアンスを残しつつ、「ハエ」にかけたジョークになっています。

 

Undertaleに登場するジョークの英日比較とその解説(Nルート編③) - ケムニマーク

こちらへ続きます。